青春時代

チャイムが鳴った。
純子が 恵美に何か話掛けている。

それを遠目で見ているだけで俺は
ドキドキしたものだ。

何を話しているのだろう?

2人の会話を盗み聞きたい衝動に
駆られた。

そうするうちに、恵美と純子が
立ち上がり教室を出た。一緒に
パンを買いに出たのだ。

俺の為に純子が行動してくれる。

そう思うと俺は回りに、その事を
言いふらしたい気持ちになった。

しかし、俺はじっと我慢した。

いや、その喜びを一人で噛み
しめていたのだ。

純子が教室に戻ってきた。

そして俺のそばに来て

「買ってきたよ。」

そう言ってパンと財布を渡して
くれた。

その時の彼女の笑顔は本当に
可愛く俺をドキドキさせたものだ。

「うん。」

まだシャイな俺は

「ありがとう。」が言えないで
そんな情けない返事しか出来ず
受け取った。

何故あの時彼女に「ありがとう。」
と笑顔で応える事が出来なかった
のだろう。

今でも悔やまれる。

男として情けないと。

純子は直ぐに自分の席に戻り
何事も無かったように友達と談笑
している。

反して頼んだ当の本人の俺は
もう頭の中が真っ白であった。

自分が女が欲しいと思い「行動」
した記念すべき日が成功したからだ。

そしてこれがきっかけだったのだろう。

その後大人になるに連れ、俺は
女という獲物に目覚め、狙った女に
手当たり次第声を掛けるようになった。


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