青春時代
これを世間では「告白」というの
だろう。徳子は勇気を出して告白
してくれた。
俺はそれに応えなければいけない
のだが、その方法が思いつかなった。
手紙か・・・。いいな。
彼女の手紙を前にして俺はふと
そんな事を思いついた。
そうだ!
俺も手紙を書けばいいのだ!
しかし、何て書けばいいのだろう?
外見だけが大人になっていく反面
内面は全く成長していなかった俺は
彼女の手紙に応える術に悩んだ。
悩みに悩んだ末、ようやく書けた
のがこれだ・・・。
「手紙ありがとう。
嬉しかった。」
今思い出すと顔から火が出そうな
くらい恥ずかしい。あまりの気の
利かなさにだ。
女の子が勇気を出してくれた手紙の
答えがこんな通り一遍の返事であった。
本当にあの頃の俺は全く気が回ら
ないダサい男であった。
徳子のように綺麗に折れなかったが
その手紙をいくつかに折って、翌日
制服のポケットに忍ばせた。
昼休みが狙い目だった。
昼になると皆が教室から出て行った。
その時徳子を見た。彼女は本を読んで
いた。
俺は彼女に近づき「これ」そう言って
小さな手紙を渡した。
徳子は驚いていたが、俺にもはっきり
と分かるぐらい嬉しそうな表情をした。
そして俺はこう言った
「愛と誠、俺も大好きだよ。」
「徳子、絵が上手だね。」
すると彼女が嬉しそうに話し
出したのだ。
自分の興味の有るものが、俺も
好きだと知って目を輝かせて話す。
俺はこの時ハッキリと知った。
それは女と会話するには共通の
話題が有る事がとても大切だと。
それをこの瞬間俺は学んだ。
学生時代の手探りの恋愛。それは
確実に大人になってから役立つ。
学生時代出来るだけ恋をし胸を焦がし
そして破れ打ち砕かれる事で
大人になった時の自分の、恋愛
フォームが完成されていくことを
今改めて知る。
共通の話題。
それは恋人同士には欠かせない
プラットフォームかも知れない。
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