青春時代
いよいよ、卒業式の日を迎えた。
ただ、世間で言うところの感動など
俺には全く無かった。
ああ、卒業か・・・。
そんな程度であった。
校長先生の長ったらしい講釈が済み
壇上に1人の生徒が呼ばれた。
それは卒業生代表だ。
その生徒に校長先生から全生徒を
代表して卒業証書が手渡される。
ただ、いつの間にそんな代表が
決まったのか?
決めた基準は何なのか?
そんなものは職員室の闇会議で
話されていたようで、生徒達は
寝耳に水であった。
その卒業生代表とやらを卒業式
の当日に知った。
そんな名誉ある役柄ならもっと
以前から掲示板にでも、栄えある
選ばれた理由を書いてやり
貼りだしてやればいいのに。
そう思う。
壇上に上がったその代表は遠くて
分かりづらく、結局誰だったのか
全く分からず仕舞いであった。
高校も然り。
卒業生代表は当日に知った。しかし
どこの誰だか分らなかった。
選出の演出方法をもう少し考えれば
いいのにと思うのだが・・・。
先生達の拍手で見送られ、俺達は卒業
した。
いよいよ高校生だ。
だからと言って直ぐに気持ちを切り
替える事など出来ない。
高校入学までの間は春休みであった。
中学から高校・高校から大学、この
期間の春休みが一番楽しかった。
自分自身が青春アップデートする
期待感からだ。
俺はひとみの手紙を見て思い切って
電話する事にした。
何故そうしようと思ったのかは
分からない。
ただ、女から電話番号を聞かされ
それもそこそこ可愛い女を逃すのは
勿体無いとでも思ったのだろうか。
まだ中学生に体半分残ってるのに
既にそんな男のいやらしさが出始め
ていたのかも知れない。
そして俺は初めて女に電話する。
記念すべきラブコールだった。

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