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詩を書いています。
iloveladyのブログ
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青春時代
演奏が終わり沢山の拍手を貰った。
快感だった。
人前で自分の作った曲を演奏し歌い
そして賞賛の拍手を貰える。
笑えるのだが高校時代、真剣に
フォークシンガーになりたいと
思っていた。
実際TVやラジオのオーディション
を受けに行ったりもした。1度も
合格はしなかったが。
有名になってくると、ちやほや
されたのも嬉しかった。
演奏が終わり控室に戻る。
全てが終了し、帰り支度をして校門
に向かう為校舎を出た。
すると校門に徳子が友達と待って
くれていたのだ。
「おお!徳子まだいたの?」
俺は演奏の事が有り、すっかり
彼女の事を忘れてしまっていた。
声を掛けると彼女が嬉しそうに
近づいてきた。
「M君、凄いね。上手だったよ。」
「ありがとう。」
「じゃ、俺達打ち上げだから。」
この時のシーンを思い出すと本当に
徳子に土下座したくなる。
彼女は2時間以上もかけ、自分の
学校から俺の学校まで、わざわざ
会いに来てくれたのに
そして多分俺と話をしたくて待って
くれていたのに、能天気でバカな俺は
彼女をその場に残してバンドのみんなと
何時も帰りに寄るパン屋で打ち上げを
(ジュースとパンで)しに行ったのだ。
どうして、あの時徳子も誘って
やらなかったのだろう。
どうしてわざわざ来てくれた彼女に
優しくしてやれなかったのだろう。
この時の事は今でも悔やんで
物凄く後悔している。
彼女はきっと何かを期待して来た筈だ。
彼女は女子高だ。
男子と知り合う機会など少ない。
自分の学校に回ってきた昔好きだった
俺の写真を見た彼女は、もしかすれば
また、俺とやり直したかったのかも
知れない。
そんな思いを込めて手紙をくれた筈。
そして遠く離れた俺の学校にわざわざ
演奏会にまで来てくれた。
それなのに・・・この俺は・・・。
じゃ!のひと言で彼女を校門に置き去り
にし、クラブ仲間達とその場を立ち
去った。
情けない・・・。
あの時に戻れるなら、彼女を誘って
クラブ仲間の皆に紹介してあげた
かった。
彼女、凄く絵が上手なんだよと。
そして何時も俺にイラスト付きの手紙を
くれていたんだよと。
一緒に彼女の家の盆踊りにも行って
夜店を回って楽しかったよと。
彼女の浴衣姿はとても可愛いかった
んだよと。
それ以来彼女からは2度と連絡が
無かった。
当たり前だろう。
デリカシーの無い男には女は興味を
失う。
しかし、その何年後かに驚く事を
耳にした。
それは徳子が俺の中学時代の友人と
結婚したという風の頼りだった。
まさか俺の友人と!
そいつはとてもいい奴だったので
幸せになれるだろうと思えた。
俺はその話を聞いた時、彼女と行った
夏祭りを思い出し
ふとあの時、浴衣姿の徳子からの
石鹸の香りがしたような気がした。
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