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覚醒タイランド

夜遊びデビューの後俺は、ポーに
会いに行く為だけに渡航していた。

その為、その後は友人達と日程を
合わす事も無くマイペースで
通っていた。

まぁ、付き合いの悪い男だったと思う。

初めてポーと出会い、彼女に惚れ
その2週間後にまた、彼女に会いに
タイに行った。

そんな俺を友人達は笑っていた。

定番の「お母さん病気」の為に
3万バーツを助けてあげ、友人達の
失笑をかっても俺は平気だった。

彼女に惚れていたからだ。

タイ遊びに慣れている友人からは
「お母さん病気」は彼女達の日本語
テキストに出てくる定番の嘘だよ
そう教えられたのだが

ポーがお金に困っているなら 俺は
別に彼女がどんな理由で俺から金を
引っ張っても良かった。

彼女に3万バーツ渡した時
「ありがとう。」そう言われ、嬉し
そうな顔を見ただけで満足だった。

彼女を助けてあげる事が出来た
という喜びだった。

よく、タイの夜嬢とのお金の話で
騙された云々の話が出るが、彼女達に
お金を渡す理由なんて何でもいいの
ではないだろうか?

嘘でも本当でも・・・。

俺は夜嬢達と多くの恋愛経験を積んで
きてそう思うようになった。

騙された?というのは基本、犯罪的
な言葉の意味だと思う。

相手を愛していたなら、騙された
という言葉よりも助けてあげる事が
出来たで終わるべきではないだろうか。

何故ならお金を渡してやるその瞬間は
相手が好きで金を出してあげるのだから

彼女達が自分の身体を武器にして
俺達から金を引き出す行為は別に
悪だと思わない。

最初から相手の身体目当てで俺達も
夜嬢に会いに行くのだから。

どっちもどっちだろう。

要求されたその金が惜しいと思う
なら断ればいいだけだ。

断らないで支払ってやるのは、相手の
事を想っているからだろう。

そして相手にもっと好かれたい
この関係をもっと長く維持したい
そんな下心もある筈だ。

実際、俺はある。

払ってやる瞬間、相手の喜ぶ顔を
見たいが為に払ってやるなら
その顔がその支払う値段であると思う。

その瞬間の自分の気持ち、彼女の気持ち
そして彼女の笑顔の対価としての値段
がその時の価値だろう。

なので、彼女達をその瞬間好きなら
お金に関しては騙す・騙さないの問題
は存在しないのだと思う。

「お母さん病気、3万バーツお願い。」

これは嘘だったが俺は別にどうでも
良かった。

結局、自分が出来る範囲の金で相手を
喜ばせる事が出来ればそれでいいと
思ったからだ。

これが30万バーツ欲しいと言われれば
俺は無理だと断ったし、多分ポーに
興覚めしただろう。

バンコクに値上がり確実な土地がある
ので投資したい。だからお金を出して
欲しい。

これも断る。

自分の相手に対する愛情の値打ちと
かけ離れた話だからだ。

結局そういう事だ。

自分が出来る範囲、彼女を喜ばせて
あげたかったと人に笑って言える
範囲で留めておく事が大事だと思う。

ただ、ポーがお母さん病気と言って
お金を無心してきたのは1度だけで
あった。

なので、俺達は長続き出来た。

それが、次はお父さん病気で、更に
お兄さん病気など次から次へと出て
来ていたら俺はポーから離れていた
と思う。

俺自身の彼女に対するボーダーライン
を超えてしまっているからだ。

そういう意味ではポーは夜嬢としての
営業が上手かった。

俺は毎月確実にポーに会いに行って
いたので、彼女は俺を安定したATMと
して確保出来ていたのだから。

夜嬢達と付き合うには愛情の値段の
境界線を決めておく必要があるだろう。

騙されたと思わないように。
ここまでなら助けてあげてもいいと。

愛情が憎悪に変わらないように
ボーダーラインを決めておくべきだろう。

愛情が憎悪に・・・
それが一番悲しい結末だ。

何故愛した人を憎む事になるのか?

それは自分が相手に対してサポート
してあげる金銭感覚が、麻痺して
しまっていたからだろう。

愛しすぎたうえに愛情に目が眩んで
俺はこれだけの事をしてやったと
思う程に金を突っ込む。

金銭の問題では、相手を憎むよりも
自分がボーダーラインを超えて
しまった事に無理やり納得する
べきだと思う。

俺はそうする事にした。

騙されたなどというくらいなら
疑似恋愛など求めず

俺の友人のように快楽だけを求め
規定通りの金だけ払い
その場限りにすればいい。

そう思うようになった。


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