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青春時代

いよいよ高校卒業が近づいてきた。
俺は私立の外大に合格し進学が
決まった。

いつしか海外で仕事がしてみたい。
その為に英語を勉強したいと漠然と
思い始めていたからだ。

しかし、この漠然とした思いは
いつしか現実になる。

その後リーマンを経て独立し
海外での仕事をするようになる。

この事で俺の人生は大きく変わった。

大学生になる気分は高校生の時とは
各段に違う気持ちであった。

高校生の時には大人へ近づけたような
気分であったが、大学生ではもう
自分が大人の仲間入り出来た気分で
あった。

高校3年も終わりに近づき俺達
軽音楽部で3年生の卒業コンサート
が開催された。

いよいよこれで最後の演奏かと思うと
何だか寂しさがよぎった。

俺の高校生活はギターと陽子のお陰で
本当に充実していた。

1年の時の不登校が嘘のように・・・。

最後俺は自分のオリジナルソングで
締めくくりたかった。

それが「最終105便」という曲だった。
陽子との別れで浮かんだ曲だ。

卒業コンサートは視聴覚室で開催された。
俺達のバンドの出番がやってきた。

いよいよこれで最後だった。

演奏中何気に一番奥に目をやると
なんと!そこに陽子が立っていた。

陽子が俺の最後のステージを見に
来てくれていた。

彼女は薄暗い一番奥に立っていた
ので顔が分かりづらかった。

なので、この時まで彼女がいた事を
俺は気づいていなかった。

俺は動揺し、演奏を間違いそうになる。
心を落ち着かせ最後の曲を歌い出す。

皮肉にも陽子との別れの曲を
まるで陽子に聞かせるように。

陽子!俺の最後の歌を聞いてくれ。
お前との別れで作った曲だよ・・・。

それが「最終105便」だった。

     「最終105便」

  ひとごみの中で 小さく語り合う
  君と僕に 別れの時が迫る

  夜のエアポート 白いスーツの君は
  とても素敵だよ もう1度抱きしめたい

  最終105便のアテション
  君は黙って僕の目を見つめる

  もう分かったよ 止めはしないさ
  君には君の道がある

  3番ゲートへ向かう君を 
  見えなくなるまで見守る僕を

  僕らしくもない事に気づき
  ふっと微笑みを浮かべた

  白いドアに手を掛けて 車に乗り込めば
  僕の隣にいた 君の甘い香り

  Stand-by go 白い鳥が君を
  Stand-by go 連れて逃げていく
  Stand-by go 遠ざかるジェットの音

  今車の窓を流れる ハイウェイライトの
  淡い灯の光に 君が最後に僕に見せた
  一筋の涙が蘇る

  君の頬に手を当てて じっと見つめていれば
  君は僕の手握りしめて 別れが辛くなると泣いた

  Stand-by go 白い霧がかかる
  Stand-by go 夜のエアポート
  Stand-by go 遠ざかるジェットの音

陽子は俺の歌を最後まで聞いてくれ
そのまま扉の外に消えた。

さようなら陽子・お前は俺の青春だった。
たくさんの思い出をありがとう・・・。


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