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青春時代

今ではクリスマスと同じような
お祭り行事にまで成長したこの
バレンタインデー。

一説によるとこのバレンタインデー
1970年代、デパートが女性の顧客に対し
「バレンタインはチョコを贈ろう!」と
始めたキャンペーンが定着したと言われて
いる。

今ではその市場規模は500億とも
言われていて、お菓子業界としては
バレンタイン様様であろう。

確かに俺が中学生の頃、それは70年代
まことしやかにこのバレンタインデーの
噂が流れ始めてきた。

2月14日は好きな人にチョコレート
を渡すのだと。

今では義理チョコという言葉も出来
お世話になった人や友達にも
気軽にあげるようになっているが

俺の中学時代から本格的に流行り
出した時はこのイベントは完全に
ガチだった。

本当に好きな人に告白するきっかけ
としてこのバレンタインデーが
使われていた。

その為2月14日が近づくと男子達
に緊張が走った。

もしかすると誰かからもらえるかもと。

俺は1つもらえた。それはこの時好き
だった徳子からだ。

彼女とは普段から手紙のやりとりを
していたので、もしかすればと
期待していたら、やはりもらえて
物凄く嬉しかった覚えがある。

完全なガチのチョコだったからだ。

俺が初めてチョコをもらえたのが
あの徳子だった。

高校になると、女子も大胆になって
くる。

まだ、今のように性に対してオープン
でなく、罪悪感を持っている時代では
あったが

それでも、告白というきっかけを
作ったバレンタインに女子生徒達も
大いに色めきたった。

しかし、この時もまだ義理という物
はなく、ガチであった。

その為男子生徒達はワクワクした
と思う。

1年生の時は空振りだった。

高2からは、俺には陽子がいた
ので彼女から貰えると思っていた。

クラスでも俺には彼女として陽子が
いる事が知られていた。

何時も俺の教室に遊びに来ていた
からだ。

女子達からは「可愛い後輩の彼女ね。」
そうからかわれたりした。

しかし、そんなクラスの中の女子
からまさかチョコレートを貰える
なんて思ってもみなかった。

2月14日の朝、何時ものように
駅で陽子が待っていた。

そしてチョコレートと手紙を
プレゼントしてくれた。

予想通りの展開であったが、やはり
嬉しかった。

教室に入ると友達から俺の持って
いる袋を見て冷やかされた。

昼休み静かになった教室。

俺はトイレに行こうとして教室を
出た。

すると後ろから「M君。」突然
そう呼ばれ驚いた。

振り返るとそこには同じクラスの
結衣が立っていた。

「おお!結衣どうした?」

何気に聞くと「M君、これ。」

そう言って俺に紙袋を渡してくれた。
直ぐにその中身は分った。

チョコであった。

俺は驚いて彼女を見た。彼女結衣も
また真剣な眼差しで俺を見ていた。

 
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