livedoor Blog 4位/45865
青春時代
それはまさに卒業式のサプライズで
あった。自然消滅したと思っていた
陽子が卒業式に来てくれていた。
そんな陽子が俺に近づきこう言った。
「パパ、第2ボタンが欲しい。」
そう言って突然、涙を流し始めた。
卒業式に好きな男から制服の
第2ボタンを記念にもらう。
こんなセレモニーは丁度俺の高校時代
から流行り出したように思える。
しかし、まさか自分がその主役に
なるとは・・・。
それは陽子とは既に別れてしまって
いたと思っていたからだ。
まさか、彼女が卒業式に来てくれて
いるとは思いもよらなかった。
多分最後の俺を見る為だろう。
俺の青春の1ページに陽子がいた
ように、陽子の青春の1ページにも
また俺がいたのだろう。
彼女が俺の第2ボタンをくれと言う。
涙を流しながら。
回りには大勢の卒業生がそれぞれの
別れを惜しんで喧噪の渦のように
なっていた。
しかし俺達2人、俺と陽子は
その中で自分達だけにスポットライト
が当たり立ちつくしていたように思える。
それは俺と陽子の最初で最後だった
演劇、まさにチルチル・ミチルの
舞台の時のように・・・。
俺の頭の中は回りの喧噪とは関係無く
静まり返っていた。
俺は黙って自分の第2ボタンを引き
ちぎった。
その時、猛烈な勢いで俺に涙が込み
上げてきた。でもぐっと我慢した。
物凄く・物凄く我慢した。
それは1度泣き出したら止まら無いと
思ったからだった。
ちぎったボタンを大好きだった
陽子にそっと手渡してやる。
本気で好きになった初めての彼女だった。
何度も握った事のあるその小さな手が
俺に触れる。
それが最後の彼女に触れた温もり
だった。
陽子は頭を小さく下げ、友達の元に
戻って行く。彼女は何も言わなかった
が、頬を止めどなく伝わる涙が何かを
物語っていた。
俺に背を向けて歩き去るその後ろ姿は
もう俺の手の届かない所へと行って
しまった。
彼女の後姿が俺の込み上げてきた
涙で霞んで見えなくなってしまう。
悲しいとか寂しいとかそんな簡単な
言葉では表せないない何かが俺の
胸の中からせりあがってきた。
大声で彼女の名を叫びたかった。
初めて出会ったのは飛び入りで
頼まれた演劇だった。
ひと目で陽子に惚れた。
段々と仲良くなり、2人で
毎日・毎日、朝も帰りも一緒に
通学した。
授業が終われば一目散に俺の教室
に来てくれた。
クラブのある日は俺の練習をずっと
そばで見ていてくれた。
体育祭の日、俺に弁当を作ってくれた。
初めて自分で作ったと照れていた。
毎日別れ際、俺に手紙をくれた。
俺と陽子とその間に子供の絵を描き
その日から俺をパパと呼びだした。
一緒に行った公園での初めのキス
どうやって帰ったのかもよく覚えて
いない。
書ききれない程の思い出を俺の
高校生活のページに残してくれた
陽子。
最後にお前に俺のボタンを渡せた
事を本当に嬉しく思う。
さようなら高校生活。
さようなら陽子。
まさに俺の青春の幕切れにふさわしい
最後だった・・・。
恋愛カップルにクリックを!
青春時代
それはまさに卒業式のサプライズで
あった。自然消滅したと思っていた
陽子が卒業式に来てくれていた。
そんな陽子が俺に近づきこう言った。
「パパ、第2ボタンが欲しい。」
そう言って突然、涙を流し始めた。
卒業式に好きな男から制服の
第2ボタンを記念にもらう。
こんなセレモニーは丁度俺の高校時代
から流行り出したように思える。
しかし、まさか自分がその主役に
なるとは・・・。
それは陽子とは既に別れてしまって
いたと思っていたからだ。
まさか、彼女が卒業式に来てくれて
いるとは思いもよらなかった。
多分最後の俺を見る為だろう。
俺の青春の1ページに陽子がいた
ように、陽子の青春の1ページにも
また俺がいたのだろう。
彼女が俺の第2ボタンをくれと言う。
涙を流しながら。
回りには大勢の卒業生がそれぞれの
別れを惜しんで喧噪の渦のように
なっていた。
しかし俺達2人、俺と陽子は
その中で自分達だけにスポットライト
が当たり立ちつくしていたように思える。
それは俺と陽子の最初で最後だった
演劇、まさにチルチル・ミチルの
舞台の時のように・・・。
俺の頭の中は回りの喧噪とは関係無く
静まり返っていた。
俺は黙って自分の第2ボタンを引き
ちぎった。
その時、猛烈な勢いで俺に涙が込み
上げてきた。でもぐっと我慢した。
物凄く・物凄く我慢した。
それは1度泣き出したら止まら無いと
思ったからだった。
ちぎったボタンを大好きだった
陽子にそっと手渡してやる。
本気で好きになった初めての彼女だった。
何度も握った事のあるその小さな手が
俺に触れる。
それが最後の彼女に触れた温もり
だった。
陽子は頭を小さく下げ、友達の元に
戻って行く。彼女は何も言わなかった
が、頬を止めどなく伝わる涙が何かを
物語っていた。
俺に背を向けて歩き去るその後ろ姿は
もう俺の手の届かない所へと行って
しまった。
彼女の後姿が俺の込み上げてきた
涙で霞んで見えなくなってしまう。
悲しいとか寂しいとかそんな簡単な
言葉では表せないない何かが俺の
胸の中からせりあがってきた。
大声で彼女の名を叫びたかった。
初めて出会ったのは飛び入りで
頼まれた演劇だった。
ひと目で陽子に惚れた。
段々と仲良くなり、2人で
毎日・毎日、朝も帰りも一緒に
通学した。
授業が終われば一目散に俺の教室
に来てくれた。
クラブのある日は俺の練習をずっと
そばで見ていてくれた。
体育祭の日、俺に弁当を作ってくれた。
初めて自分で作ったと照れていた。
毎日別れ際、俺に手紙をくれた。
俺と陽子とその間に子供の絵を描き
その日から俺をパパと呼びだした。
一緒に行った公園での初めのキス
どうやって帰ったのかもよく覚えて
いない。
書ききれない程の思い出を俺の
高校生活のページに残してくれた
陽子。
最後にお前に俺のボタンを渡せた
事を本当に嬉しく思う。
さようなら高校生活。
さようなら陽子。
まさに俺の青春の幕切れにふさわしい
最後だった・・・。
恋愛カップルにクリックを!