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青春時代

静江は綺麗な女性であったが暗い
影があった。その理由は分からな
かったがどうやらそれがBFのタケル
には鬱陶しかったようだ。

まぁ、タケルの気持ちは男の俺には
ある程度理解出来た。毎日のように
部屋に来られたら鬱陶しさMAXにも
なるだろう。

男はこちらに都合のいい女が好き
なのだ。

俺は静江を傍から見ていて、凄く美人
だが、何というか説明が付かない
危ない女のような感じがした。

ある日ヒデキが俺にやばいやばいと
言ってきた。

慌てている彼にどうしたのかと聞くと
静江が泣いて電話してきたと。

まぁ、ヒデキは静江に頼られているの
で彼女のBFと何かあったのだろうと
思った。

しかし、その内容を聞いていると流石
の俺もそれは酷いと驚かされた。

静江はBFのタケルに惚れていた。
その為、毎日のように彼の部屋に
通っていた。

ところがタケルはプレイボーイなので
他の女も部屋に連れ込みたい。実際
彼は身長が185もありハンサムで
凄くカッコ良かった。

初めて会った時にこいつはモテる!
俺も直ぐにそう思えた。

ただ、彼は静江が毎日のように部屋に
来るのでウザさがMAXに達してしまっ
たようだ。

彼の「もう部屋に来るな!」の言葉に
静江は「あなたが大好きなの!」と
言い一歩も引かない。

実はこれが女の怖さだ。

女をモノにするには手間暇掛かるが
一旦モノにすると今度はバイバイが
簡単に出来ない女が中にいる。

こちらの事を執拗に諦めないのだ。
静江はそのタイプであった。
安易にそんな女にちょっかい出すと
後が本当に恐ろしい。

タケルの「もうお前など嫌いだ!」

静江の「あなたが大好きなの!」

このタケルと静江の攻防が続く。
するとタケルが部屋の隅に置いて
あった静江からの手編みのセーター
を持ち上げた。

昭和50年代、俺の青春時代
この手編みというプレゼントが
若い女性達の間で人気だった。

今のZ世代はどうなんだろう?

俺もこの時代女の子達から手編み
のマフラーや手編みのセーターを
貰ったものだ。

どんな高級ブランドを貰うより嬉し
かった。それはひと編みひと編み
彼女の想いがこもっていたからだ。

セーターなどは編むのに凄く時間が
掛かるようで、相手の事を想って
いなければ出来ない作業だろう。

静江もタケルに手編みのセーターを
プレゼントしていた。一生懸命彼の
事を想い編んだのだろう。

しかし怒り狂っていたタケルがその
セーターを持ち上げ、そして手に
カッターを持ち、何と彼女の前で
切り裂いたのだ!

何度も・・・。

これが俺の気持ちだ!と言って。

静江はあまりの酷さに泣いて彼の
部屋を飛び出した。

俺はその話を聞き、彼のあまり
に酷い仕打ちに茫然とした。

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