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青春編151
「私と結婚して欲しい」


そろそろ寝ようか。そう言って
灯りを消した。

それを合図に俺はユキを貪った。
若い俺は激しくユキを攻める。

ユキも俺の攻めに対し苦悶の表情で
見悶えていた。彼女は快楽の世界でも
静かな女だ。

俺が上になり、彼女を見下ろす体制
でフィニッシュを向かえようとして
いた。

下でユキは俺を自分の花心に受け
入れ、じっと俺を見つめている。

そしてふいにこんな言葉を言った。

「M君、結婚して。」

俺はその言葉に少し驚いた。

「俺と結婚して欲しいのか?」

今の時代、若い男女の婚姻率は大幅に
下がってしまった。それもまた少子化
の要因の一つである。

しかし昭和50年代のこの頃、女性は
25才を目途に結婚したがった。
結婚が夢と言うレディも多かった。

若い女が30才近くにもなると親から
早く嫁に行けと、やいやい言われ
近所からもあの家のお譲さんはまだ
家にいるのよと噂された時代だった。

俺はまだ学生でこれから社会人だ。
しかし、高卒で働きに出たユキは
既に社会人4年目。

これは大きな差がある。

俺は彼女の言葉を遮るように全力で
フィニッシュを迎えた。

全てを出し切り俺は疲れて眠って
しまった。

翌日も旅館は軽い朝食を用意してくれて
いた。最後会計をすると本当に2人で
1万しか請求されなかった。

旅館を出る時女将が見送ってくれたの
だが、本当にこの旅館は色々な意味で
思い出になった。

あれから既に40年以上経った今、あの
女将さんは今でも健在なのだろうか?

そう思うといつか自分もそう思われる
年令を迎えるのだとセンチメンタルに
なる。

前の夜俺に「結婚して欲しい。」そう
言ったユキは次の日にはその事には
何も触れなかった。

男女の交わりの勢いで言ったのか
はたまた、自分の年齢的に今が一番
輝いているので俺と結婚したくなった
のかは定かでは無い。

ただ、単に勢いだけでは無かったような
気がする。あの頃の時代背景を考えると。

フェリーに乗り和歌山に戻る。
じゃあ、そう言って彼女と別れた。

ただ、その後俺は彼女の結婚願望が
気になっていた。

俺はユキを単なる都合のいい女に
見ていただけだが、彼女が仮に本気
でそんな事を考えているなら俺はその
気持ちに応える事は出来ない。

そう思っている時にまたもや俺に
幸運が訪れた。

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