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青春編168
「かすりもしない俺の努力」
彼女とのボタンの掛け違いは
様々な場面で出ていた。
例えば２人で鳥取に旅行した
時の事。砂丘は美しく、海も
とても綺麗な場所だった。
今でもあの広大な砂丘の美しさ
は忘れられない。砂丘を横断する
リフトに乗り、見下おろす景色は
今でも目に浮かぶ。
俺は何とかバイト代から旅費や
宿泊費を２人分捻出した。
苦学生の俺は大学の学費や
自分の生活費は自分で稼ぐ
必要があった。
その為バイトを掛け持ちし
彼女の為に遊興費を捻出して
いた。
今のように格安旅行など無い時代。
安いと言っても２人分の旅行代は
それなりに結構な金額となった。
しかし彼女の事が好きになって
いた俺は頑張って稼いだ。
ところが・・・。
その時の旅行は民宿に泊まった。
学生である俺は別段宿泊する
場所など民宿でも平気だ。
いや、それが学生身分である
俺には当たり前だった。テントや
寝袋での野宿も平気だった。
２人が案内された部屋は６畳一間。
トイレや風呂は共同だ。
他の客とはふすま１枚で隔たれた
田舎によく存在するような古い民家
だった。
彼女と部屋に入ると彼女が少し驚いて
いた。窓も無い畳の６畳の間だった
からだ。
ただ、俺は民宿とはそんなものだと
思っていた。
「ここなの？」
彼女は別段悪気は無く言ったのだ
と思うのだが、俺はカチンときた。
「そうや。なんで？」
「ううん。聞いただけ？」
「お前、民宿初めてか？」
「うん。」
「旅行行った事無いんか？」
「あるよ？」
「じゃ、何処泊まってたん？」
「リゾートホテル。」
「・・・・。」
彼女は決して嫌味で言った訳では
無い。しかし、和美の一言・一言
が俺にぐさっときた。
この頃、リゾートホテルに宿泊
など夢のまた夢だった。
当時１泊５万以上はしたのでは
ないだろうか？大卒初任給が
１０万以下の時代にだ。
俺はまた彼女の言葉に打ちのめ
された。
この日の為にバイトを２つ掛け
持ちし、休み無く働いても彼女の
ライフスタイルには、まるで
かすりもしない現実に・・・。
俺は資本主義経済というものを
ますます憎んでいった。
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青春編168
「かすりもしない俺の努力」
彼女とのボタンの掛け違いは
様々な場面で出ていた。
例えば２人で鳥取に旅行した
時の事。砂丘は美しく、海も
とても綺麗な場所だった。
今でもあの広大な砂丘の美しさ
は忘れられない。砂丘を横断する
リフトに乗り、見下おろす景色は
今でも目に浮かぶ。
俺は何とかバイト代から旅費や
宿泊費を２人分捻出した。
苦学生の俺は大学の学費や
自分の生活費は自分で稼ぐ
必要があった。
その為バイトを掛け持ちし
彼女の為に遊興費を捻出して
いた。
今のように格安旅行など無い時代。
安いと言っても２人分の旅行代は
それなりに結構な金額となった。
しかし彼女の事が好きになって
いた俺は頑張って稼いだ。
ところが・・・。
その時の旅行は民宿に泊まった。
学生である俺は別段宿泊する
場所など民宿でも平気だ。
いや、それが学生身分である
俺には当たり前だった。テントや
寝袋での野宿も平気だった。
２人が案内された部屋は６畳一間。
トイレや風呂は共同だ。
他の客とはふすま１枚で隔たれた
田舎によく存在するような古い民家
だった。
彼女と部屋に入ると彼女が少し驚いて
いた。窓も無い畳の６畳の間だった
からだ。
ただ、俺は民宿とはそんなものだと
思っていた。
「ここなの？」
彼女は別段悪気は無く言ったのだ
と思うのだが、俺はカチンときた。
「そうや。なんで？」
「ううん。聞いただけ？」
「お前、民宿初めてか？」
「うん。」
「旅行行った事無いんか？」
「あるよ？」
「じゃ、何処泊まってたん？」
「リゾートホテル。」
「・・・・。」
彼女は決して嫌味で言った訳では
無い。しかし、和美の一言・一言
が俺にぐさっときた。
この頃、リゾートホテルに宿泊
など夢のまた夢だった。
当時１泊５万以上はしたのでは
ないだろうか？大卒初任給が
１０万以下の時代にだ。
俺はまた彼女の言葉に打ちのめ
された。
この日の為にバイトを２つ掛け
持ちし、休み無く働いても彼女の
ライフスタイルには、まるで
かすりもしない現実に・・・。
俺は資本主義経済というものを
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