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青春編170
「お嬢様のゼミ旅行に唖然」


彼女と俺の卒業のタイミングは
同じだった。彼女は短大・俺は
四大だったからだ。

俺は卒業の為に論文を書く必要が
あった。外大に行っていた俺の
論文はそれなりに大変だったし
苦労した。

しかし、それでようやく大学を
卒業出来ると思うと本当に嬉し
かった。

何故なら俺はリーマンになる事で
稼げる希望が湧いていたからだ。

ようやく自分で稼いで自由に金が
使える。そう思うとワクワクした。

ただ、この卒論でゼミの教授に
合格点をもらわなければ卒業
出来ない。

なので、バイトを終えてから家で
必死で書き上げていた。

俺の大学は4年生になるとゼミと
いう少数単位のクラスに分けられ
学生最後の仕上げをする。

あるテーマを与えられそれに対して
論文を書きあげる。途中、教授が
チェックしながら各々完成させていく。

卒論は文章だけなので一見簡単なよう
に感じたが、実際書き始めると結構な
努力と時間を要した。

しかし・・・。

かたや、お嬢様学校の和美と言えば
ゼミの卒論は「ゼミ旅行」だと言う。

俺はそれを聞いた時「???」だった。
それでどんな論文を書くんだ?
そう聞くと、旅行に参加すると合格点
を貰えると言う。

俺は呆気に取られた。

確かに俺も大学に入学しても、ろくに
勉強もせず何をしに行っていたのか
分からないところがあったが、和美の
お嬢様学校は更に不可解だった。

ゼミ旅行が卒論だと・・・?

俺はバイトを終えてから家で必死に
卒論を書き上げているのに、一体
世の中どうなっているのか?

若い学生の俺は理解に苦しんだ。

そして和美から聞いたゼミ旅行の
内容に愕然とした。

それは東北地方のあるリゾートホテル
に現地集合。自分でそこまで来なさい
という指示だった。

そこで1泊2日、教授とゼミ仲間で
触れ合う事で卒業させてもらえると。

勿論ホテル代は自腹だ。確か20万か
30万だと言っていた。1流ホテルに
宿泊し、フルコースが用意されている
との事だった。

卒業を金で買うのか?!
俺は驚いた!

要は彼女はお嬢様学校なので、そんな
場所でゼミ仲間とコミュニティを取り
過ごすのが卒論らしい。

彼女はそんなゼミ旅行を
楽しそうに
俺に語ってくれるのだが

俺には何か違う世界の話にしか聞こえ
なかった。同じ国に住んでいるとは
思えなかったのだ。

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