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青春編171
「彼女からのナイフのような一言」

リゾートホテルで談笑するのが
卒論だと・・・?何というふざけた
大学なんだ?

俺は驚きと共に、呆れ返った。

こちらは毎日バイトを終えてから夜
必死で英文タイプで卒論を書き上げて
いるのに、20~30万もかかる
小旅行で卒業出来るなんて・・・。

ただ、これが現実だ。

大卒という肩書だけを必要とする
お嬢様達も世の中にはいる。

金が有るか無いかで子供の学生時代も
苦労して過ごす青春か気楽に過ごせる
青春かに分かれていく。

この経済格差に怒りを感じた若者は
決して俺だけでは無いだろう。
いや、俺はまだ大学に行かせて貰えた
だけ幸せだった。

金銭面で断念した若者も多い筈だ。

和美は卒論旅行を楽しそうに話す。
それは彼女にとっては自慢でも何でも
無い。回りが皆そうなので日常の
ちょっとした会話なのだ。

反してその話を聞かされている俺は
経済格差という現実をますます叩き
付けられていく。

和美はそのホテルまで友達の彼氏に
送ってもらうそうだった。

「え?みんなで行くんじゃないの?」

俺のような庶民はマイクロバスか
何かで行くものだと思った。

和美にそう聞くと

自分達でそのホテルまで行く事も
卒論に含まれているとの事だった。
要は自分達で場所を探して来なさい
的な課題だ。

呆れた・・・。

しかし、俺は少しカチンと来た。
それはいくら友達の彼氏だと言っても
男の車に乗せてもらうからだ。

「え?何で俺にそんな事先に相談
 しなかったの?」

俺は自分でこの質問をした事を
大きく後悔する事になる。

それは彼女がこう答えたからだ。

「え?車で行くんだよ。車で・・・。」

俺は当然車など持っていなかった。
なので、彼女のこの言葉がナイフの
ように胸に突き刺さった。

要は俺が車が無いので、友達の彼氏に
乗せてもらうと言いたかったのだ。

ゼミの友達は全員彼氏が車持ちだった。
多分その友達は和美にこう言った筈だ。

「えーーー!和美の彼氏車無いの?」

和美の友達の彼氏達もまたお坊ちゃん
の筈だった。俺のような男を彼氏に
選んだ和美は異端児だったのだろう。

この時の和美の答えは、今までと違い
明らかに俺が車を持っていない事を
暗に批判しているような口調だった。

何故なら車という言葉を2度念押しで
言ったからだ。

俺は「分かった。」そう言って電話を
きった。胸くそが悪くなったからだ。

こんな嫌味を言い出したなら別れて
やると思いたかったが、気づくと俺は
和美に本気で惚れてしまっていた。

もう後戻り出来ないくらいに。

辛かった。
苦学生の自分が・・・。

俺はその時頑張ってバイトで貯めた
貯金が50万以上あった。

大卒の初任給が10万も無い頃だ。
それを元手に株式投資を考えていた。

俺には金で金を増やすしかなかった。
学生の時給など知れている。なので
俺は株の世界を勉強し、資産を増やそ
うと考えていた。

ところが、和美のこのナイフのような
言葉が俺の胸に深く突き刺さった。

そんな時甥っ子が車を買い替えるので
今乗っている車を買わないかという
話が舞い込んできた。


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